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映画監督の登竜門・ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の荒木啓子ディレクターに訊く「PFF」とは

※このイベントは2015年4月26日(日)をもって終了しました。

2015年04月08日 18:00 by JUN

ぴあフィルムフェスティバル(以下PFFと略)は、自主映画のコンペティション「PFFアワード」の入選作品の上映をメインに置いた映画祭で、これまでに森田芳光、石井岳龍、塚本晋也、園子温、矢口史靖など、100名超の映画監督を輩出した映画祭として知られています。今、日本の映画を面白くしている監督は大抵PFF入選者と言っても過言ではなく、正に映画界の登竜門的な存在です。

4月24日(金)〜26日(日)の3日間、『第36回 PFF in 福岡』が開催されるのに先がけ、PFFアワードの興味深い選考方法や映画作りについて、PFFディレクター・荒木啓子さんにお話を伺いました。

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「多数決はやりません。多くの人が“いい”と言うものは、多くの人が“どうでもいい”という作品とも言えるから」
 PFFアワードの選考方法ですが、毎年500〜600本近くの応募があり、最初は15人で選考しています。1人で決めると主観になってしまうので、討論や客観性が生まれるように、1作品を最低3人で観ると決めて。それも、観ている途中で切ることはせず、最後まで観て、できればコメントを出すようにする。このように、実は世界中のどこの映画祭も決してやらない、凄く非効率的なことをやっています。この過程を「一次審査」と呼びます。
 そうやって一次審査に残った作品を全員(15人)で観て、入選作を決める会議をします。ただ、多数決はやりません。多数決で残る作品は映画祭の映画ではない。多くの人が“いい”というものは大概、多くの人が“どうでもいい”という作品に繋がる危険に満ちているので。選考に関わる誰かの心や人生を動かす作品や、今年の作品でベストと言わせるような作品が出てくることが、凄く大事だと思うんですよね。多くの人には分からなくても、一部の誰かの心を激烈にプッシュする……ということは、その何百倍かの人が、この世の中でその作品を求めているかも知れないと。それが凄く大事なんです。15人で徹底的に話し合って、話題が沸騰しそうな一部の作品が残ったところで、最終的に私がラインナップを決めています。

「“滅茶苦茶でも良いから何かを作ってみる”という過程が凄く大事」
 自主映画の段階で商業映画を真似るのは当たり前ですが、その必要がない創作のアイデアが生まれる瞬間が大切です。自分が幼い頃に観てきた素晴らしい映画の体験があればあるほど映画のアイデアは溢れるので、観ることは必要なんだけど、実際に自分が作る時には、“分からないことを映画にする”というところから始めても良いのだということを、改めて感じています。今、“映画とはこういうものだ”という情報が溢れ、学校も沢山増えているのですが、自主映画というものはもっと自由なものなので、“滅茶苦茶でも良いから何かを作ってみる”という過程が一層大切な状況だと思います。作りたいと思えば、完成しなくても良いから作ってみれば良いと思うんです。PFFアワードの応募者は作品が完成した人達ですけど、多分その3〜4倍は完成していない作品があると思うし、或いは応募しなかった人もいっぱいいるはず。そう考えると、何千もの人が映画を撮っている計算になるので、素晴らしいことだと思います。そういうことをやった人は、物事をどうやって見るかとか、どういう風に考えるかとか、少なくとも何もしなかった人より遥かに体験する。その体験は、眼を耳を脳を心を鍛えます。
 応募者は圧倒的に東京在住者に集中していますが、彼らの出身地はバラバラで、今年は全都道府県の出身者が揃いました。自主映画だからこそ、どこに住んでいても作れると思うので、福岡からも応募が増えることを期待しています。

「あまり自主映画を知らない人には、招待作品部門の『ようこそワンピース体験へ!』をぜひ」
 『ワンピース』は、かれこれ20年、PFFアワード1990でグランプリを受賞した矢口史靖監督(『ウォーターボーイズ』『WOODJOB!〜神去なあなあ日常〜』ほか)と鈴木卓爾監督(『ゲゲゲの女房』『楽隊のうさぎ』ほか)が、ひっそり撮り続けている自主映画プロジェクトです。人のためにではなく、自分達の映画的感覚を衰えさせないため、鍛えるために作っている映画ですが、驚くほどエンターテイメント性が高い作品ばかりで、これをまとめて観られるのはPFFだけです。一見すると簡単に撮ってそうに見えますが、二人とも天才なので、短い時間の中に色んなアイデアや技が詰まっていることに物凄く感動しますよ。これから映画を撮ろうと志している方は、観ておいた方が良いですね。中途半端にせず、徹底的にやるとどれだけ映画が面白くなるのかという、素晴らしいお手本になると思います。DVD発売の予定も、インターネット配信の予定も無く、本当に映画祭じゃないと観られないので必見です。

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会期中、荒木ディレクターも来場する『第36回 PFF in 福岡』では、PFFアワードの本年度応募作528本の中から厳選された、入選作品21本が上映されます。中でも福岡県出身の2監督の作品は要チェック!「流れる」の橋本将英監督は、手塚眞、犬童一心らに続き、31年ぶりの現役高校生監督として入選を果たしました。また、40歳を過ぎてから映画制作を開始した「ひこうき雲」の柴口勲監督は、史上最年長46歳での入選。まさに“映画制作に年齢は関係ない”と言える快挙を成し遂げました。

作品の詳細や上映日時などは、PFF公式サイトをチェック!
http://pff.jp/36th/

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☆プレゼント☆
『第36回 PFF in 福岡』チケットを5組10名様にプレゼント!
http://tenjinsite.jp/presents/
※応募締切:2015年4月13日(月)




【1】第36回PFF in 福岡 メインビジュアル

【2】招待作品部門「ようこそワンピース体験へ!」
矢口史靖監督、鈴木卓爾監督

【3】(写真上から)
「流れる」監督:橋本将英(16歳/福岡県福岡市出身)
 ※4月26日(日)14:00〜監督来場予定

「ひこうき雲」監督:柴口勲(46歳/福岡県北九州市出身)
 ※4月25日(土)15:30〜監督&6名の中学生来場予定

「怪獣の日」監督:中川和博(27歳/奈良県出身)
 ※4月26日(日)14:00〜監督&キャスト2名来場予定

「ナイアガラ」監督:早川千絵(37歳/東京都出身)
 ※PFFアワード2014グランプリ作品

取材・文:JUN
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第36回 PFF(ぴあフィルムフェスティバル)in 福岡EVENT

期間 2015年4月24日(金)~2015年4月26日(日)
イベント公式URL http://pff.jp/36th/
●会場:<a href="http://toshokan.city.fukuoka.lg.jp/" target="_blank">福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ(福岡市早良区百道浜3-7-1)</a><br />
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