全国の屋台は各自治体の独自の規制や条例によって管理されています。ここ福岡市は、1996年8月に発足した「屋台問題研究会」が提出した「屋台問題研究会報告書」を基に福岡市と屋台営業者、警察が協議し2000年7月より施行された[福岡市屋台指導要綱]に基づいて屋台営業が行われています。
営業中は<幅3m×奥行2.5m>のサイズを厳守。このサイズにお客さんの座席や囲い、調理場、調理器具等の置き場など屋台に関わるものすべてを収めています。なお非営業時は幅2m×奥行1mにまとめて駐車場等に収容する決まりです。
ちなみに屋台が誕生したと言われる江戸時代の屋台は幅1.8m(六尺)×90cm(三尺)と超コンパクトだったとか。
2011年6月現在、福岡市内に156軒の屋台があります。うち、天神エリアに属する屋台数は60軒と、約半数弱が天神に集中しています。ちなみに正確な数は定かではありませんが全国の屋台の約4割と言われる数がここ福岡に集結していると言われています。
江戸時代の屋台は、寿司や天ぷら、お蕎麦などを立ち食いするスタイルだったそうです。明治時代には焼き鳥が屋台にデビューを果たし、そのころからお酒も提供されるようになったそう。対する現代の屋台メニューは百花繚乱。ラーメンや焼き鳥、おでんといった定番から、イタリアンやフレンチ、エスニックなアジア料理から中華までなんでもアリ!お酒だってビールや日本酒、焼酎だけじゃなくワインやカクテルなどオシャレなものが飲める屋台もあるんです。
屋台を出すには、以下の三つの許可が必要になります。
[営業許可書]:食品衛生法に基づく厚生労働書・消費者庁の許可。
[道路占有許可書]:屋台指導要綱に基づく福岡市の許可。
[道路使用許可]:道路交通法に基づく福岡県警の許可。
[福岡市占用料条例]に基づく道路の占用料は1áu=700円/月。屋台1軒あたりが8áuなので=5,600円/月となります。現在は1回の更新で4ヶ月分=22,400円を納める決まりになっているそうです。また、占用許可の有効期間は1年以内。1年に1回は営業者に講習会受講が義務付けられています。
・公共の場所に食材、器材、車両等の放置は禁ずる。
・屋台本体や機材等で、通行人の歩行の妨げにならない場所(屋台を設置しても、歩道幅が2m以上確保されていること)。
・視覚障害者用ブロックの使用を妨げない場所(ブロックから0.6m以上離れること)。
現在「屋台指導要綱」に基づき、「屋台営業者の占用許可に係わる権利義務は、継承できないものとする。ただし、占用許可を受けた屋台営業者が死亡し、又は長期療養やその他やむを得ない事由により屋台営業を継続することが困難である場合において、屋台営業による収入により主たる生計を立てている者(原則として当該屋台営業者の配偶者又は直系血族の子である相続人に限る。)が自ら屋台営業を行うときは、この限りでない」。また「占用許可を受けた屋台営業許可者は、占用許可に係わる権利を他人に譲渡し、転賃し、又は担保に供してはならない」という決まりも。いずれにせよ、屋台営業者が継続不可能になった場合、また高齢化によって営業を終了した場合、この規制のままでは屋台は消えていくのみなのです。
[福岡市屋台指導要綱]第36条第一項に基づき、屋台営業者は移動飲食業組合に加入するよう努める決まり。
博多移動飲食業組合/福岡移動飲食業組合/長浜移動飲食業組合
上記三つの屋台組合に各屋台は加入しており、天神エリアの屋台は「福岡移動飲食業組合」に所属しています。
食品衛生法に基づく営業許可の場合、屋台は固定の店舗と比較して、区画、給排水やその他の衛生設備に制約があるため、「生ものの提供の禁止」等、公衆衛生上必要な措置の遵守が義務付けられています。
なので、屋台で提供されるものは、提供直前に十分加熱するされたもののみ。屋台で「お刺身ください!」なんて言わないでね。
組合が屋台専用に借りている駐車場に停まっています。天神の屋台は中央区内に3カ所用意している駐車場に分散して収容しているそう。駐車場代は1台あたり25,000〜30,000円と通常の自動車と変わりません。夕方、この駐車場から屋台設置場所まで屋台を運んでいるのが「引き屋」と呼ばれる職業の方々。日当は約2,000〜3,000円ぐらいだそう。
ボッタクリ、なんて今どきあるはずもないのですが、やはり初心者なら不安なもの。屋台に料金表があれば誰でも安心して利用できます。明朗会計でお互い気持ちよく!
「○○で知り合った女性と付き合うように=縁結び屋台」「カップルで??に行くと必ず分かれる=縁切り屋台」など、各屋台の常連さんにまことしやかに伝わるウワサやジンクスがあるそうですが、ここではあえて店名は申しません…。
2006年6月、同誌によって「世界の“Hottest 10 Citys”」に選ばれたこともある福岡市。その際掲載された福岡市の写真はなんと屋台の光景だった。福岡市=屋台、が世界でも認知されている証拠???
屋台近くには公衆トイレがある場合が多く、屋台によっては近隣のビル等にお願いしてトイレを使わせてもらえるようにしてある店舗もあります。しかし路上の店舗、という本来の場所を考えれば、なくても当たり前といえば当たり前。できれば入店前に済ませておくのがよいでしょう。
一台造るのに180〜200万円ぐらいだという屋台。「よねちゃん」の屋台は大将・米倉さんが18のときに造った38年モノ。長持ち!屋台一体を造るのにかかる制作期間は1〜2カ月。現在屋台を造る技術を持つ「屋台職人」と呼ばれる方は福岡にたった一人が残るのみだそう。
その昔、道道に灯る屋台の明かりは、暗い夜道を歩く女性を優しく包むお守り的存在でした。警固公園界隈に屋台が多かった頃は、公園内で火事があったときにも屋台の大将たちが協力して消火活動にあたるなど、街の安全を守る存在でもあったのです。
少々の雨風なら負けずに営業!の屋台が多いですが、基本的に雨、風、雪がひどい場合はお休み、になるのが屋台。夕方からの天気予報をチェックしておでかけくださいね。