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福岡ゆかりの近現代美術を中心に、江戸時代の絵画や現代工芸まで、広く、深く日本美術を紹介

2017年12月11日 11:00

九州一の繁華街・天神(北)にありながらも、緑豊かな須崎公園内にあるため喧騒から離れて静かに過ごすことができる『福岡県立美術館』。その歴史は長く、図書館と美術ギャラリーの併設施設『福岡県文化会館(前身)』としてオープンしたのが1964年のこと。その20年後の1985年に現在の『福岡県立美術館』は開館しました。
建築家・佐藤武夫が“福岡県文化の象徴”となることを願って設計したという建物は、実に見ごたえがあります。



約1万点のコレクションは、福岡県にゆかりのある作家の作品や、福岡県の美術動向に関わる作品を中心に収集されてきました。高島野十郎や坂本繁二郎といった著名な作家による近現代の作品をはじめ、江戸時代・福岡藩の御用絵師の筆頭に挙げられる尾形家の絵画資料、染織、やきものなどの現代工芸といったものも収集・展示。そのコレクションは4階の展示室にて、企画やテーマによって作品を入れ替えながら紹介されています。

高島野十郎「蝋燭」大正期(コレクションより、参考作品)。


中村研一「サイゴンの夢」1947年(コレクションより、参考作品)。


尾形家絵画資料「海亀図」。尾形家の絵画資料は、福岡県の県指定文化財でもあります。(コレクションより、参考作品)。


釜我敏子「型絵染着物『麦秋』」1988年。現代作家の工芸も収集・展示する全国的にも珍しい美術館です。(コレクションより、参考作品)。



「ほかの地域や国を訪れた時には、その土地について知りたいと興味を持つ方は多いと思います。当館では美術作品を通して、福岡の地域性、またいい意味でのローカル性をお楽しみいただけます」と学芸員の高山百合さん。「例えば、博多育ちの作家は派手で明朗な画風だったりと、土地の気質が作品に表れていることも多いんですよ」。展示室を案内してくれた高山さん。


隣の作品は、福岡市中洲中島町(現博多区中洲)出身の洋画家・児島善三郎による「代々木の原」(1934年)。(展示風景は2017年11月21日現在 ※時期によって展示は変わります)。


先に作品を紹介した、久留米出身の洋画家・高島野十郎の作品を数多くコレクションしているのも『福岡県立美術館』の特徴の一つ。彼の作品はファンが多いため、4階展示室に隣接して、高島野十郎の常設コーナーが特別に設けられています。表側と裏側あわせて高島の作品を5点程度展示、作品は随時入れ替わります。


高島野十郎の常設コーナーの隣にある棚には、全国で開催中の展覧会のフライヤーが配布されています。ここを密かな楽しみにするアートファンも。


『福岡県文化会館』時代からの図書館を引き継いでいるため、実は、図書室がかなり広々。美術書だけでなく、郷土に関する書籍、一般書籍、雑誌や絵本など1万冊以上が閲覧できます。本好きなら一日中過ごせるはず。



洋書も豊富に並びます。


図書館の中には“おりがみコーナー”も。珍しい形の折り方も提案されているので、レッツ・チャレンジ!

展示室や図書館を堪能した後は、1階の喫茶室でひと息ついてはいかがでしょう?


広々としたガラスからは公園の緑が望める上、陽も射し込んでとっても気持ちいい空間です。メニューはフード、ドリンクともに充実。ちなみにスタッフのオススメは、じっくりコトコト煮込んだ「カレーライス」(648円)と「ハヤシライス」(648円)だそう。

『福岡県立美術館』で、福岡ゆかりの作品を観て福岡の地域性を感じるショートトリップはいかがでしょう。鑑賞の余韻で、“買い物天国・天神”の新たな一面も見えてくるはずです。


■福岡県立美術館
●住所:福岡市中央区天神5丁目2-1
●TEL:092-715-3551
●開館:9:00~18:00(展覧会は10:00~18:00、入場は17:30まで)
●休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)
●URL:http://fukuoka-kenbi.jp/


ライター:木下貴子


プレイス情報PLACE

福岡県立美術館

住所 福岡市中央区天神5丁目2-1

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