観光 - 太宰府に行く
道真公に由来する太宰府名物《梅ヶ枝餅》。焼きたての美味しさは現地ならでは!!
2017年12月01日 08:00
「お餅焼けてますよ〜」「お一ついかがですか〜」。天満宮へと向かう参道の両側に並ぶほとんどの土産物屋さんの店頭では梅ヶ枝餅が焼かれていて、前を通るとこんなふうに声をかけられます。薄い餅皮に包まれているのは小豆あん、まあるい形で中央に梅の紋があるお餅です。さて、その始まりは…。太宰府に左遷された菅原道真公の心を癒すために浄妙尼(じょうみょうに)という老女が献上したからとも、道真公の棺に、好きだった餅を梅の枝にさしてお供えしたからとも言われています。食べると病魔を防ぐともいわれているんですよ。道真公が亡くなったのは903年ですから、1100年以上続く太宰府の名物なのです。現在、参道沿いや茶店などで梅ヶ枝餅が毎日焼かれています(梅ヶ枝餅協同組合加入35店の内、梅ヶ枝餅店舗販売32店)。
【《梅ヶ枝餅》の作り方と美味しさの秘密】
■かさの家
大正11年(1922年)に創業した『かさの家』を訪ねて、梅ヶ枝餅について教えていただきました。
梅ヶ枝餅の材料は、もち粉、米粉、小豆、砂糖、塩と、いたってシンプルです。小豆を水につけて洗い、ゆでた後、砂糖を加えて練り上げます。できあがったあんをもち米粉と米粉で作った生地で包み、団子を作ります。団子を鋳物製の焼き型(かつては真鍮の焼き型でした)に入れて、表と裏をひっくり返しながら焼上げるのです。昔ながらの手焼きは、ひとつの焼き型で4個の梅ヶ枝餅を焼上げることができます。
あんの作り方、甘さの加減、焼き方などがそれぞれに工夫され、お店によって味は異なります。太宰府の梅ヶ枝餅は全部同じ味ではないのです。食べ比べてみるのも面白いですね。
↑あんこを生地で包んだ団子
↑店頭で並んでいるとガラス越しに機械焼きの様子を見ることができます
『かさの家』では、手焼きとともに、自動焼機も使われています。熟練した職人が焼くのなら、火力を大きくして素早く焼くことができたりするので、実は手焼きのほうが早いのだそうです。いずれにしても、焼きたてを食べられるのは太宰府を訪れればこそ。外はパリッと香ばしく中はもっちりとした食感を楽しめます。飲食スペースがある店で抹茶やコーヒーと一緒にいただくのもいいですし、1個(120円・全店共通)買って、食べながら太宰府を散策するのもいいですね。
お土産として家庭に持ち帰った梅ヶ枝餅もしっとりとやわらかくて美味しいですが、電子レンジで軽くチンした後、オーブントースターで焼くと、焼きたてに近い味わいを再現できるそうです。変わった食べ方としては、4等分した梅ヶ枝餅を丼に入れ、お湯を注いでぜんざいのようにして食べても美味しいそうですよ。
最後におもしろいエピソードをうかがいました。かつては2つの梅ヶ枝餅の間にあんを挟んで食べる“重ね餅”という食べ方があったのだそうです。昔は梅ヶ枝餅を包む竹の皮にサービスとしてあんだけを添えていたそうで、買った人がそのあんを梅ヶ枝餅に挟んで食べたのが始まりのようです。ビッグマックよろしく、ボリューム満点の梅ヶ枝餅になりそうですね。
↑「抹茶セット」(650円)
大正時代に旅籠として始まった『かさの家』は梅ヶ枝餅の販売も行なっていました。北海道十勝産の小豆をはじめとした厳選した材料を使い、こだわりの製法で作られる梅ヶ枝餅は多くの方に愛され続けています。奥の「茶房ギャラリー」では落ち着いた雰囲気の中、季節を感じる庭を眺めながら、焼きたての香ばしい梅ヶ枝餅や軽食を楽しめます。
●住所:福岡県太宰府市宰府2丁目7-24
●TEL:092-922-1010
●営業:9:00〜18:00
●定休:なし
●URL:http://www.kasanoya.com/
【《梅ヶ枝餅》食べ比べ。お店ごとに違う味を楽しんで!!】
■萬屋(よろずや)
↑「梅ヶ枝餅」(1個120円)
西鉄太宰府駅から天満宮を目指す時、一番最初に出会う梅ヶ枝餅を焼いているお店が『萬屋』。生地のこね方、甘さ控えめの粒あんなど昭和26年(1951年)の創業以来変わらない梅ヶ枝餅は、今もすべて手焼きです。「お餅を食べて休憩していただけるように」と、店内にテーブルが1つあり、1個食べてもお茶はサービス。各種おみやげも揃っています。
●住所:福岡県太宰府市宰府2丁目6-11
●TEL:092-922-4155
●営業:8:00〜17:30(土曜・日祝日〜18:00)
●定休:火曜 ※1・2・3・11月は休みなし
■茶房きくち
↑「冷たい深蒸し煎茶セット」(500円)
↑「夫婦餅」(280円)
『茶房きくち』の梅ヶ枝餅は60年前に初代店主が考案した製法で今も作られています。粒あんは、高品質の十勝産小豆「雅」を使い、アク抜きをしっかりとして炊き上げ少し赤味かかった色。甘さを抑え、小豆の旨味を引き出した味わいで、もっちりとしたガワにも良く合います。熱々の梅ヶ枝餅2つの間に冷たい粒あんを挟んだ「夫婦餅(めおともち)」も人気です。1階は梅ヶ枝餅の販売、2階は喫茶コーナー。
●住所:福岡県太宰府市宰府2丁目7-28
●TEL:092-923-3792
●定休:木曜 ※1・25日が木曜の場合は前日の水曜休み
●URL:http://umegae-kikuchi.com/
■寺田屋
↑「抹茶」(梅ヶ枝餅1個付き700円)
↑寺田屋のお庭
梅ヶ枝餅と飛梅漬(昔ながらの漬け方をした太宰府伝統の梅干し)で知られる『寺田屋』。店内奥には喫茶スペースがあるので、創業から85年間変わらない製法で焼かれる甘さをおさえた上品な味わいの梅ヶ枝餅をゆっくりと食べられます。天気のいい日は、四季折々の風情が楽しめる庭の縁台でも楽しめます。参道の喧噪がうそのような静かな場所です。
●住所:福岡県太宰府市宰府4丁目6-15
●TEL:092-922-4064
●営業:9:00〜17:30
●定休:第1・3水曜 ※1~3月は不定休
●URL:http://www.umegaemochi.co.jp/
■お石茶屋
↑「抹茶セット」(540円)
天満宮本殿の北側にあり一番奥に位置する店が100年以上の歴史を持つ『お石茶屋』。店名はかつての女将・江崎イシさんに由来します。外の雰囲気も、土間に小上がり(テーブル席もあります)という店内も風情があっていい感じ。注文してから焼いてくれる香ばしい梅ヶ枝餅は昔から変わらない味。抹茶と一緒にいただきましょう。
●住所:福岡県太宰府市宰府4丁目7-43
●TEL:092-922-4045
●営業:10:30〜16:30
●定休:不定
<One More Info> 毎月17日と25日には特別な梅ヶ枝餅が登場!
↑古代米入梅ヶ枝餅
↑よもぎ入り梅ヶ枝餅
さて、通常の梅ヶ枝餅の生地の材料はもち米粉と米粉ですが、毎月17日と25日にはいつもと少し違う梅ヶ枝餅が登場します。
毎月17日は、“キューハクの日(九州国立博物館の日)”として古代米入りの梅ヶ枝餅が全店で販売されます(個数限定)。そして、道真公の誕生日(845年6月25日)と命日(903年3月25日)にちなみ、毎月25日は生地によもぎが入った梅ヶ枝餅が全店で販売されます(個数限定)。通常の梅ヶ枝餅とは香りも味わいも違う2つの梅ヶ枝餅もぜひ味わってみたいですね。
ライター:山本美智子
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