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天神発、アジフライと松浦党(まつらとう)の歴史にふれる旅

2019年03月18日 12:00 by 山内淳

京都を拠点に活動する劇団「ヨーロッパ企画」と長崎県松浦市が『天神サイト』でコラボした、異色の連続アジフライ小説「アジフライに恋して」はご覧になりましたか? 2018年12月に西九州自動車道松浦ICが開通したことにより、福岡市から松浦市へのアクセスがこれまでよりも良くなったのです。2つの旅行プランで松浦市の魅力をお伝えしますので、春休みにお出かけしてみてはいかがでしょうか。

まずは少し歴史のお話。
魏志倭人伝によれば、松浦一帯は「末盧(まつら)国」と呼ばれていました。嵯峨天皇の子孫にあたる源久(みなもとのひさし)が、1069年に検校(けんぎょう)(長官)としてこの地に赴き、今福(現・松浦市今福町)に梶谷(かじや)城を築きました。「松浦(まつら)」の姓を名乗った源久を党祖として栄えた長崎県松浦市は、平安時代から戦国時代に海を舞台に活躍した武士団「松浦党(まつらとう)」発祥の地なのです。

今回は「松浦党」にまつわる歴史を巡るプラン。上の写真は「調川(つきのかわ)道路公園」内にある『松浦水軍の兜(かぶと)』。このモニュメントの兜は武将用で、実際の舟戦では鍬形(左右の角)は取り外していたそうです。中央に書かれている「八幡」とは、全国の八幡神社の祭神であり、武家では軍神として崇め、武運長久の祈りを込めて、これを押し立てて舟戦に臨んだといいます。

『松浦水軍の兜』のモニュメントが見据える先には伊万里湾。交易による大陸文化の摂取にも努めたほか、源平合戦への参戦や元寇での応戦などで歴史に名を刻んだ「松浦党」は、村上水軍、九鬼水軍と並ぶ「日本三大水軍」の一つとして知られています。

■松浦水軍の兜(かぶと)
住所:長崎県松浦市調川町平尾免 「調川道路公園」内

 

2018年6月にオープンした『旬市場(ときいちば)』は、「松浦魚市場」事務所棟1階にある鮮魚・加工品販売所。日本一の水揚げ量を誇るアジやサバをはじめとする鮮魚のほか、一夜干しやみりん干し、味噌漬けといった水産加工品がずらり。どれも市場ならではのお買い得価格です。

■旬市場(ときいちば)
住所:長崎県松浦市調川町下免695 「松浦魚市場」事務所棟1階

 

続いては『道の駅 松浦 海のふるさと館』。アジやサバなどの鮮魚や水産加工品はもちろん、こちらでは野菜やお茶などの農産物も多数揃っています。

■道の駅 松浦 海のふるさと館
住所:長崎県松浦市志佐町庄野免226-30

 

ランチで訪れたのは明治43年創業の『割烹旅館 鶴屋』。こちらのアジフライは、生簀で泳ぐアジを調理するという贅沢さ。噛めばザクッと心地よい食感の衣に、肉厚でふっくらやわらかな身が包まれています。さすが“アジフライの聖地”と呼ばれる松浦市だけあって、その味わいは格別。松浦市では一年中捕れるアジですが、旬を迎える春から夏の今が特におすすめです。

■割烹旅館 鶴屋
住所:長崎県松浦市志佐町浦免1297-1

 

『割烹旅館 鶴屋』の隣は『岩元製菓舗』。「全国菓子博覧会」で金賞を受賞した「長崎かすてら」が名物です。

■岩元製菓舗
住所:長崎県松浦市志佐町浦免1276

 

『割烹旅館 鶴屋』から道沿いにあるシャッターアートを通り過ぎると、種苗店『松尾農園』にたどり着きます。色とりどりの花の苗や種がいっぱいです。

その向かいにあるコーヒースタンド『Matsuo Nouen + Coffee』では、スペシャルティコーヒーのテイクアウトや地元野菜、加工品の販売も行っています。

■松尾農園/Matsuo Nouen + Coffee
住所:長崎県松浦市志佐町浦免1252
URL:https://www.matsuonouen.net/

 

松浦市を訪れたなら、有田~平戸~佐世保を運行している『松浦鉄道』にも乗ってみましょう。単行列車に揺られながら車窓の景色を楽しむのもおすすめです。

 

「松浦党」の党祖である源久が「ぎぎが浜」に上陸後、1084年に滋賀県の「多賀社」(現・多賀大社)の分霊を勧請したのが『今福(いまふく)神社』。ここで源久が年を越したことから、「歳の宮」とも呼ばれています。松浦の歴史に造詣が深い51代目宮司の早田(そうだ)伸次さんがいれば、詳しいお話を聞かせていただけるかもしれません。

写真左は「叶いの狛犬(いぬ)」と呼ばれ、体に不調や不具合がある方(本人が来られない場合は代理も可)は、その箇所と同じ所に手を当てて祈りを込めて撫でるとよいとされています。写真右は「祓いの獅子」と呼ばれ、失敗事や反省事のある方は、この獅子の口に手を入れて再び繰り返すことのないよう誓いを立てるとよいとされています。

■今福(いまふく)神社
住所:長崎県松浦市今福町東免68

 

1069年に源久が上陸した『ぎぎが浜』。この浜辺は鳴き砂で、輿に乗って上陸した際に砂が軋(きし)んで「ギィギィ」と鳴ったことからこの名が付いたそうです。

■ぎぎが浜
住所:長崎県松浦市今福町北免

 

最後は『農・海産物直販所 海の里』でもお買いもの。松浦の幸をおみやげに持ち帰りましょう。

■農・海産物直販所 海の里
住所:長崎県松浦市今福町北免2009-323

 

平安時代から戦国時代まで活躍した海の武士団「松浦党」発祥の地であり、現在はアジの水揚げ量日本一を誇る松浦市。この春は、今なお息づく歴史ロマンにふれ、“アジフライの聖地”で絶品のアジフライに舌鼓を打つ旅に出かけませんか。

取材・文:山内淳
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