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『美しい星』舞台挨拶にリリー・フランキー、吉田大八監督が登場!

2017年06月13日 18:00 by 筒井あや

三島由紀夫のSF小説を現代に置き換え、吉田大八監督が実写映画化した『美しい星』。吉田監督が、学生時代から映画化したかったという原作に、以前からいっしょに仕事をしたいと思っていたというリリー・フランキーさんが主演として参加、まさに監督自身の願いが叶った作品となりました。鹿児島県出身の吉田監督と福岡県出身のリリー・フランキーさんが揃って舞台挨拶に登場。

――監督は学生時代からこの作品を撮りたいと思っていたそうですが、これまでも映画化の話があったんでしょうか?

吉田大八監督:実はこれまで機会があるごとに、「美しい星」をやりたいと言ってきたんです。でも三島由紀夫さんの原作というのはハードルが高いのか、なかなか前に進まなかったんですよ。でも今回、映画の主人公の大杉重一郎と自分が同じ年だというタイミングで、以前から仕事をしてみたかったリリーさんに声をかけたら、リリーさんも同じ年だったりして、そういう巡り合わせなんかを味方につけて実現しました。

――今回は原作を現代に移して映画を作られていますけど、どういう意図がありましたか?

吉田大八監督:原作が書かれた当時とは、世界情勢も大きく変わっているし、家族そのものの在り方も、50年以上前の家族と、今の家族とではかなり違います。物語はSFですが、家族の話でもあるので、現代の観客にリアリティーをもって見てほしくて、そうすると設定から見直して作るほうがいいなと思いました。

――リリーさんはお天気キャスターで、4人家族のお父さんで、火星人という役でしたけど、一番重きを置いたのはどこでしょう?

リリー・フランキー:原作はほぼ無職でしたが、この作品ではお天気キャスターで、お父さんで、火星人で、不倫してる(笑)。こればかりは役作りのしようがないんですよ。お天気キャスターに関してはTBSの森田(正光)さんが出演されているスタジオに見学に行ったり、実際にお天気の読み方を教えてもらったりはしました。火星人の役作りは、どうしていいかわかりませんので。

――監督から何か火星人についてのアドバイスはありましたか?

リリー・フランキー:監督からは、役作り的なことでいうと、少し痩せておいて欲しいと言われてました。でも普通にちゃんと堅気の仕事をしていて、家庭があるというのは、俺にとっては火星よりも遠い話ですよ(笑)。

――現在公開中ですが、SNSなどでは色んな感想が来ているそうですね。

吉田大八監督:本当にいろんな感想があるんです。テンションが尋常じゃない人も多くて(笑)。Twitterのコメントも、読んでいる僕の方が興奮するくらいのものもありました。さっぱりわからなかったという人もいますし、さっぱりわからなかったけど面白いとか、面白いけど人には勧めないとか(笑)。

リリー・フランキー:おかげさまで、普通は公開して一週間過ぎたらお客さんが減り始めるのに、逆に映画館にお客さんが増えて来ているので、見てくださった方が何かしら感じていただけたんじゃないかと思います。監督のこれまでの作品の中では「桐島パターン」だそうです。

吉田大八監督:最初は苦戦したんですけど、少しずつ観た人の熱が広がっていって、結果長く見てもらえる作品になりそうです。この作品もそうなればありがたいなと思いますね。

――リリーさんは三島作品に何かイメージを持っていらっしゃいましたか?

リリー・フランキー:三島由紀夫という人は、文豪という以上にポップスターというか、特別な存在ですよね。それに三島由紀夫原作の映画はあまりないですから、それに出演できる上に、吉田大八さんが監督ですから、うれしかったですね。でも本当に巡り合わせだったんだなと思っているんです。知り合いが「豊饒の海」の初版四冊揃っているものを(普通に考えるとめちゃめちゃ高いはずなのに)古道具屋で四冊1000円で売ってたからってくれたんですよ。いいのかな、こんなに高いものをもらって、と話していたらその一週間後に大八監督から台本が送られて来たんです。なにか縁があったんだと思います。
でも三島由紀夫の原作となると、特に若い方は「昔の話なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、とてもポップな映画だし、この映画カッコいい!と思ってもらえる作品になっていると思います。三島由紀夫がそういう人だということも再認識できますね。

――中嶋朋子さん、亀梨和也さん、橋本愛さんと家族の設定ですが、みなさんとは共演は初めてだったんですか?

リリー・フランキー:亀梨くん、中嶋さんは初めてで、橋本愛ちゃんは何度も共演しています。この四人が、家族全員でいるシーンは少ないんですけど、すごくリアルな家族になっていると思うんですよ。リアルな家族って、橋本愛ちゃんと亀梨和也くんが俺の子供というリアリティーはルックス的にはないですけど(笑)居方がとてもリアリティーがあるんです。
今回はお母さんが原作とは違って地球人なんです。このお母さんがおもしろいです。やっぱり地球人が一番笑えるんですよ。おかんという宇宙が一番でかいんだなと思いました(笑)。お母さんの印象に残っているセリフがあって、娘が金星人だって言い出したり、息子が水星人だって言い出したり、お父さんは火星人だって言い出したりして、完全にイカれた家族じゃないですか。その中で地球人としてお母さんは存在しているんですけど、お母さんはビビらないんです。娘が変なことを言い出しても「地球人でも金星人でも、そういうことはちゃんとしなきゃ」って言って、全部おかんの宇宙に取り込むという。おかんは偉大ですね。

――笑えて、ちょっと不思議な感覚になる作品ですね。

吉田大八監督:観た後に、風景がすこし違って見えるとか、家族との普通のやり取りにも新鮮な感覚をもってもらえたら、作った方としてはうれしいですね。

リリー・フランキー:とてもテンポの速い映画ですが、わかならいことも多いと思います。でもこれはSFですから、わからないところがあって当然なんです。そんなこと言ったら「スターウォーズ」なんか全部わからないんですから(笑)。泣いたっていう人にいるし、感動したと言う人もいますから、それぞれの感想がこんなに違う映画も珍しいですよ。

吉田大八監督:わからないところで立ち止まらないで、しばらく映画に身を任せていたら、どこかでスッと合流できますから。最後まで音楽を楽しむような感じで見ていただきたいですね。

――最後にひと言お願いします。

吉田大八監督:もしかしたら、少し味が濃いめの映画かもしれないです。でもリラックスしてあまり構えずに楽しんでください。

リリー・フランキー:珍しい日本映画ができたなと思っています。僕も若い時にこういうカッコいい映画を見て、映画に興味を持って、そこから映画が好きになっていくようなものがあったらと思いいました。きっと見てくれたみなさんが面白いと思って頂けると思います。楽しんでください。
 

取材・文:筒井あや
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