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つむぐ想い。つなぐ未来。conext:vol.6 貞末真吾さん

2017年06月23日 12:00 by 山内淳

CONEXTはアクションを起こしたい人たちに贈る情熱伝播サイトです。自分らしくカッコよく生きる大人たちはどのように働いているのか、なぜいつもやりがいのある現場にいられるのか、どうしてやりたい仕事が巡ってくるのか。一方で夢を追う若者たちは何を考え、今、どのように行動を移そうとしているのか。そんな大人と若者をCONNECT(繋ぎ合わせ)して、NEXT(次)ステージへ。

 

地元の人と一緒に作り上げるホステルで地域を巻き込んでいく。

福岡にまたひとつ、おもしろいホステルが開業しました。2017年6月15日(木)、大濠公園にほど近い大手門にオープンした『STAND BY ME FUKUOKA(スタンドバイミー フクオカ)』は、「泊まれる立ち飲み屋」がコンセプト。リーズナブルに泊まれる宿泊施設としてはもちろん、人と人が出会い、関わり、体験し、感動する交流の場となるそうです。その仕掛けについて、代表の貞末真吾さんに伺いました。

 

―― 『STAND BY ME』は、どんなホステルですか?

2・3Fはホステルの客室で、1Fは誰でも気軽に利用できる立ち飲み屋となります。宿泊客の8~9割は外国人を想定していて、その人たちは必ず「どこがおすすめですか?」と尋ねるはず。せっかく案内するなら、自分が好きな人や店を紹介したいじゃないですか。そこで、1Fの立ち飲み屋では地元で活躍する約30店に協力してもらい、その店のレシピで作ったメニューを提供します。

―― どんな店の料理が食べられますか?

「海鮮丼 日の出」の唐揚げ、「FRUCTUS(フラクタス)」のグラノーラなどで、薬院の人気店「二○加屋長介」にメニュー全体の監修をお願いしています。店のシステムとしては、1,000円で4枚の木札を購入してもらい、フードもドリンクも1品1枚で引き換えられます。つまり、全品税込み250円ということです。

―― そうそうたる顔ぶれですね。しかも、1品250円とは安い!

1Fの立ち飲み屋は採算度外視! 交流の場として多くの人に集まってほしいですから。木札は隣で飲んでいる観光客にプレゼントしたりして、交流が広がるきっかけになればいいですね。メニュー表には「店名+料理名」と地図を載せ、地元店への送客にも繋げていきます。

―― そのほかに仕掛けはありますか?

コースターの表裏に「Don’t Leave Me Alone(ひとりにしないで!)」「Leave Me Alone(ひとりにして)」と記すことで、ほかのお客と交流したい時や一人でゆっくり飲みたい時の気分に合わせて意思表示ができるようにしデザインしました。

―― 2・3Fのホステルはどんな感じですか?

安宿である以上、ハード面にお金がかけられないのは仕方ないこと。でも、味気ないホステルにはしません。内壁のデザインは東京でも活躍する画家・アーティストの田中健太郎さんやチョークボードアートを手掛けるイラストレーターの諫山直矢さん、イラストレーターのイフクカズヒコさんに、音楽は福岡でも有名なDJの野俣さんに参画してもらっています。作り手もお客も巻き込んで、友人を連れてきたくなるような、語りたくなるような空間作りに全力を尽くしました。

―― 「ブルースカイ」はどんな会社ですか?

2011年7月に会社を設立し、2012年より「センスの良い質屋」をコンセプトにしたヴィンテージショップ「Acebuddy」を東京・福岡で運営(2015年に事業売却)したり、2014年より鳥飼八幡宮でフォトスタジオ「Acestudio」や「肉フェス(現・肉の市)」などのイベント運営に携わったりしています。鳥飼八幡宮は神社の土俵でDJイベントをしているのを見て、「ありえない!」と一気にファンになりました。そのほか、人事・経営コンサルティング、イベントの企画と運営を行っています。

―― ホステル事業を始めたきっかけは何ですか?

県外から福岡へ友達が遊びに来てくれるのに、「ホテルが予約できなかったから、行くのをやめる」と言われたことが何度かありました。わざわざ時間もお金もかけて福岡まで来てくれるのに、「泊まる場所がない」という理由だけで友達と会えないのは寂しいでしょ。「だったら俺が作るよ!」って。それで「AirBnB(エアビーアンドビー)」で部屋を貸すようになって、本格的に宿泊業に参入したくなりました。しかし、日本ではいろいろと法律の規制が厳しかったので、2016年4月にタイのバンコクでホステル「trica(トリカ)」をオープンさせました。その後、現在の物件が見つかり、『STAND BY ME』のプロジェクトが始動しました。

―― 『STAND BY ME』オープンの経緯は?

前職の「メーカーズシャツ鎌倉」では常務取締役として採用を担当していたんですが、応募してくる学生は「元気がない」と常々思っていました。しかし、海外で出会った学生たちは、みんな元気なんです。彼らは元気だから海外に行ったのか、海外の環境が元気にしたのか分かりませんが、とにかく誰もが生き生きしているのが印象的でした。そんなオープンマインドな日本人を育成するのが、『STAND BY ME』の目的でもあります。でも、さまざまな理由で海外に行くことができない学生もいるので、旅費をかけずに外国人と触れ合える環境を作りたかったんです。

―― 多彩なアイデアのヒントを教えてください。

オリジナルのアイデアは1つもなくて、飲みの席での話から自然に周囲の人とブレストが始まり、「そんなのあったらいいね!」「じゃあ、やっちゃう?」みたいなノリがベースです。僕個人に発想力がある訳ではありません。ただ、自信を持って言えるのは、僕はたくさんの人と会っています。それがアイデアの根源でしょうか。

―― 苦労や難題に直面した時、どう乗り越えますか?

深刻にならないこと。どうしよう、どうしょう、と1人で抱え込んで悩んでいても何も解決しません。困った時は素直に「ヘルプ!」と言った方がいいです。声に出せば、意外と周りは手を差し伸べてくれます。そのためにも多くの人と出会うことは、重要なファクターのひとつ。『STAND BY ME』のオープンに際してもトラブルがあったけど、たくさんの周りの人に助けられました。

―― 若者へのアドバイスをお願いします。

一度、会社は作ってみた方がいいです。今は資本金1円でも会社は設立できますからね。そうすると、積極的にビジネスや税金の勉強をするようになるはず。漠然と考えているだけよりも、何でもいいから行動を起こしましょう。会社員として働くだけでなく、フリーランスとして経験を積むという働き方が増えてもいいと思います。

―― 貞末さんはどういった若者と一緒に働きたいですか?

僕のこと、会社、サービスが好きな人。現在、「ブルースカイ」は20名以上の大所帯になりました。現在、インターンシップで「trica」に学生を送り出していますが、バンコクで外国人と触れ合ってパワフルになった彼らが日本に帰ってきて「一緒に働きたい」と言ってくれれば、それほどハッピーなことはありません。今後はもっと採用や人材育成にお金をかけて、人に投資していきたいです。

―― 今後、他事業との連携や多店舗展開の予定は?

今のところはありません。ただ、何でもやりながら考えていくタイプなので、そのうち始めるかもしれませんが……。宿泊業とツーリズムとは切り離せないので、まち案内などのツアーを企画できたらいいな、と思います。「ブルースカイ」として多店舗展開の予定はないですが、地元店のメニューを集めた立ち飲み屋を交流の場とする『STAND BY ME』のノウハウを全国で真似してもらいたいですね。それが地域巻き込み型のビジネスモデルとして、地方創生の一助になれば幸いです。

 

貞末 真吾 Shingo Sadasue

1974年、神奈川県鎌倉市生まれ。「メーカーズシャツ鎌倉」を興した現会長を父に持ち、繊維系商社で約4年働いたのち、同社で約10年勤務。常務取締役として人事採用を担当する。2011年7月に「株式会社 ブルースカイ」を設立し、ヴィンテージショップ「Acebuddy」を東京・福岡で運営(2015年に事業売却)。2012年4月より福岡に移住し、2013年より鳥飼八幡宮でのフォトスタジオ「Acestudio」運営や地域の祭りなどにも携わるほか、人事・経営コンサルティング、イベントの企画と運営を行う。今後は宿泊事業やイベント事業を主軸に周辺サービスの拡充を予定。

●株式会社 ブルースカイ
http://bluesky2012.com/

●STAND BY ME FUKUOKA
http://stand-by-me.jp/

●Acestudio
http://acestudio.jp/

 

取材を終えて
前職での人事採用担当時代から、プライベートでも多くの人と会ってきた貞末真吾さんの人を見る目は確かなもの。参画店のラインナップを知れば、福岡で生活する人なら誰もがワクワクするはず。イベント企画やホステル開業と、そのバイタリティあふれる活動の幅広さには脱帽です。地元の人気店がレシピを提供する「泊まれる立ち飲み屋」は、外国人をはじめとする人々との交流を通じ、さまざまな体験や感動が生まれる場となるでしょう。

 

取材・文:山内淳
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