映画トピックス

『君の名は。』神木隆之介さん、上白石萌音さん、新海誠監督インタビュー

2016年08月29日 18:00 by 筒井あや

『秒速5センチメートル』(07年)、『言の葉の庭』(13年)など意欲的な作品を数多く作り出してきた気鋭のアニメーション監督・新海誠。待望の新作となる『君の名は。』は、夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語。そして主題歌を含む音楽は、その唯一無二の世界観と旋律で熱狂的な支持を集めるロックバンド・ RADWIMPS。誰もが経験したことのない、アニメーションの新領域。新たな“不朽の名作”が誕生!声の出演として、三葉が夢の中で見た男の子・瀧役をつとめた神木隆之介さん、オーディションで三葉役を射止めた上白石萌音さん、新海誠監督にインタビュー。

——脚本の着想は?

新海誠監督:小野小町の、夢の中で愛しい人を見たという和歌が着想のきっかけのひとつでした。そこで、まだ出会う前の男女を夢の中で出会わせるというとこから物語の形を作っていき、“男女の入れ替わり”を入れようと考えました。入れ替わりもので、コメディーで、ということは最初の時点で決めたのですが、それだけだと 2016年の映画として新鮮味がない。新しいものを観たという気持ちにはならないだろうと思って、そこに僕自身が生活していて感じる昨今の日本の状況の変化や起こった出来事、さらにこうであったらいいのにという願いを込めて物語を作っていきました。かといって、深刻なことを描くのではなく、エンターテイメントであること、コメディーであることをテーマに作りました。さらに予想させずに、かといって観てくださるお客さんを置いていかないストーリー運びに心血 を注ぎましたね。

——神木さんは以前から監督作品のファンだそうですが、オファーを受けた感想と瀧という役をどのように感じられましたか?

神木隆之介:最初に声を聞かせてもらいたいと監督からお話を頂いた時は、信じられないくらいうれしかったですね。前作の「言の葉の庭」は何度も観ていて、早く次回作が できないかなと思っていたくらいです。まさか新作に携われるとは思っていなかったので、うれしさもありましたが何よりも驚きの方が大きかったです。瀧という役については、今回は男女の入れ替わりがあるので、瀧の中に三葉が入った時の声をどう表現したらいいか、どれくらいカラフルな声にしたらいいか、どんな テンションで話したらいいか、など監督と毎回相談しながら演じさせていただきました。
瀧という男の子は特殊な能力を持っているわけではなく、本当にごく普通の高校生なんです。でも人との関わり方や考えていることに、とても共感しながら演じることができたので、役作りを特に苦戦することはなかったです。共感できることが多かったので、自分の感覚と瀧の感覚を繋いでいくという感じで役作りをし ました。

——上白石さんはオーディションを受けられてキャストに選ばれた時の感想はいかがでしたか?また三葉という役についてどう捉えましたか?

上白石萌音:オーディションに伺う前に、仮の台本とビデオコンテを頂いていて、それを観た時からこの作品と三葉という女の子のことが大好きになってしまいました。オーディション中は監督と台詞の掛け合いをしたんです(笑)。それもとても楽しい時間でした。かといってオーディションで手応えがあったかというと、そうでもなくて……。結果をいただくまでに3~4週間時間があったんです。最初の方は少しは希望を持っていましたけど、時間が経つにつれて自信もなくなっていって、最後は映画を観るのが楽しみだな~という気持ちでいたんです。そんな時に合格の連絡が来たので夢かと思いました (笑)。三葉として台詞を言えるんだ、あの美しい風景の中で生きられるんだと思ったら、本当にうれしくて、幸せでしたね。でもそれと同じくらい、この素敵な女の子を私が演じていいんだろうか、男女の入れ替わりを演じきれるんだろうか、という不安もたくさんありました。その不安を埋めるようにたくさん準備をしてアフレコに向かったのですが、始まる前に監督から「三葉を自分だと思って演じてください」と言っていただいたんです。それまではいかに三葉に近づけるか、と考えていたので、自分のままでいいんだと思った瞬間に気持ちが楽になり、リラックスしてアフレコに向かうことが出来ました。監督の一言に最後まで支えていただきました。

——今回は監督たっての希望で、映画の音楽をRADWIMPSにお願いされたそうですがその理由は?また野田さんにどんなリクエストされたことはありますか?

新海誠監督:実は単純に好きだったということはあります(笑)。プロデューサーに音楽どうしたい?と聞かれたので、好きなのはRADWIMPSだって答えたんです。僕はプロデューサーが好きな音楽の傾向を聞いていると思っていたんですよ。そもそもRADWIMPSにアニメーションの音楽をお願いするという発想もなかったので。そしたらプロデューサーが野田さんに繋いでくださったんです。その時に(RADWIMPSに音楽を作っていただくことの)可能性がゼロではないのかと考えた瞬間に、もう彼らとやれる、みたいな気持ちになっていました(笑)。野田洋次郎さんにお目にかかったときは、お互いにすでにやるつもりだったと 思います。
野田さんには、ある部分では音楽でキャラクターの心情を語るような映画にしたいと最初にお話をしたと思います。BGMではなく、台詞に取って代わるような音楽。台詞があって音楽があって、台詞がある。ある種ミュージカルのように見えてもいい。それくらい音楽が過剰な作品にしたいというお話をしたと思います。でも具体的に僕がなにか出来るわけではないので、そういうイメージでの話しかできなくて、なので脚本をお渡しして後は野田さんに委ねました。その脚本の応答として、洋次郎さんが「前前前世」「スパークル」という曲を最初に書いてくださったんです。それは脚本が誰かに宛てたラブレターだとしたら、あるいは作品がラブレターだとしたら、こんなにうれしい返信をもらったことがないくらい最高の返信でした。本当にうれしいラブレターの返信でしたね(笑)。

——その音楽も入って、全編を通して映画をご覧になっていかがでしたか?

神木隆之介:ゾッとしました。それくらい感動的でした。作品中にRADWIMPSの歌が4曲入っているのですが、それぞれの歌が映画全体の起承転結を現しているなとも感じました。一番最初のオープニングの曲では何かが始まる予感、なにか胸騒ぎがするような感じがありますし、「前前前世」は今、物語が動き出したんだな、というような感じがありました。それぞれにテーマがきちんと伝わる曲だなとすごく感動しましたし、だからこそ歌詞と映画の物語と、そしてメロディーが重なって感動するんだと思います。

上白石萌音:私もRADWIMPSが大好きだったので、なんて素敵な曲なんだろうって。もちろん映画のために書かれているので、映画のための音楽なのですが、音楽のための映画でもあるような気がして、ふたつが同じくらいの大きさをもって、観ている人に訴えかけるような感じがしました。あるシーンでは三葉や瀧が言わないことを、(野田)洋次郎さんの声が伝えてくださったり、こういう気持ちなんだなというのを歌詞から知ったこともたくさんあります。他の映画で聴くよりも歌詞がダイレクトに伝わって来ましたし、(歌詞も)台詞だなと。とても素敵な曲ばかりで早くCDが欲しいと思いました。

 

『君の名は。』はTOHOシネマズ天神ほか にて公開中!

取材・文:筒井あや
このライターの他の記事を読む

PAGE TOP