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『日本で一番悪い奴ら』綾野剛×白石和彌監督インタビュー

2016年06月21日 18:00 by 筒井あや

2002年に実際に起こった“日本警察史上最大の不祥事”とされた「稲葉事件」で”悪徳刑事”と異名を残した、北海道警察の刑事が逮捕されるまでの壮絶な26年間を描いた『日本で一番悪い奴ら』が6月25日(土)に公開。『凶悪』で国内の各映画賞を総ナメにした白石和彌監督、“悪徳刑事”こと諸星要一を演じる綾野剛さんにインタビュー。

——原作を読んだ時の感想、また脚本作りはいかがでしたか?

白石監督:原作の「恥さらし」を読んだ時に圧倒的に内容が面白いと思いました。面白いのもそうですが、生身の一人の人間が確実にそこにいたんですね。稲葉さん(原作者)が捕まった時は、悪徳刑事が覚醒剤を使用して、銃刀法違反で捕まりました、みたいな感じだったと思いますが、その中には、こんな事実があったんだ!というの衝撃がありながらも、愛おしい一人の人間がそこにいたので、「恥さらし」からはみ出たことをしなくても充分に面白い映画になると思っていたので、それを大切に物語を作ろうと思っていました。
とはいえ、凄惨な映画にしようと思えば、このネタはいくらでも出来るんですけど、最初に本を読んだ時に、面白いエンターテイメントにしたい、という気持ちがあったので、あまり現実に捕われすぎないように、映画は映画、現実の話は現実の話、というように、分けて作ろうと思っていました。

——綾野さんはオファーが来た時の感想はいかがでしたか?

綾野:白石和彌さんが監督だったから、という理由だけですぐにお受けする返事をしました。僕のマネジャーから白石さんからオファーが来ました、って言われたので「わかりました。やります」って(笑)。プロットに「覚せい剤130kg、拳銃100丁、大麻2t 日本で一番悪い奴ら 白石和彌監督」って描いてあったんですよ。これは面白くならないはずがないなと。それで台本を読ませていただいたんですけど、池上純哉先生が書かれた脚本がとても魅力的で、諸星はもちろんなんですけど、諸星以外の人物像が非常に魅力的に描かれていることに、秀逸さを感じて、ぜひやりたいです!という感じでした。

——今回の役どころをどう捉えて役と向き合われましたか?

綾野:基本的に、僕の仕事に対する理念といいますか、最初に自分だけで役作りをしないというのが大前提なんです。これまでも現場で監督と作っていくことを中心にやってきたのですが、撮影の前日までどうこの役を演じたらいいのか自分のキャパでは足らなすぎて、とても不安だったんですけど、監督にお会いして話をしていたら不安がなくなりましたね。

——武骨で真面目な警察官から、最後は覚醒剤中毒になって捕まる。まるで人間の崩壊を描いていくようだったと思いますが、撮影されていく中で大変だったことはありますか?

綾野:全部のシーンに対して思っていたのが、全て熱量をもってやる、ということでした。なので、計算をしないというか、繋がりを意識しない、そういう思いを持ってやっていたので、現場が楽しすぎました(笑)。「シャブとチャカどっちが大事なんだって」という台詞がありますが、それって、めちゃくちゃじゃないですか(笑)。しかもそれを監督が甲子園を目指す高校球児のように元気よくやってくださいって言われて。作品のエンターテイメント性を高めるには、そういう部分もないといけないと思うんです。

この映画は作りようによっては、重たくも作れてしまう、悲惨な映画にもできる、なのに僕たちはどうしてエンターテイメントにする方向を選んだのかと言ったら、年間でマル暴の方が生涯上げる拳銃の数が、約5丁と言われていて、稲葉さん(劇中の役名は諸星)は、100丁以上挙げているわけですよね。それってとてつもない熱量だと思うんですよ。熱量がないとそんなことできない。なので、現場でも計算せずに熱量をもってやる。いつか自分が捕まるんじゃないかという意識はどこにもなかったので、そういう思いでやっていましたね。

——監督は、演出をされる上で、気をつけられたことはありますか?

白石監督:1人の男の半生をじっくり描くという映画を作るのはとても難しくて。だからまず綾野くんに乗ってもらうしかないというのはありました。ご本人が捕まった年齢は、今の僕よりも、綾野さんよりも年齢が上なんです。もちろん年齢的にもわからない部分はありますが、それをクリアにするには目の前のことに一所懸命取り組むしかない。なので、計算して芝居をするのではなく、その時々で全力投球できればいいんじゃない?というスタンスで撮影しました。だからといって、役作りを全くないということではないんです。そこは綾野さんがプロの俳優として作り上げてくれたなと思いますね。

 

6月25日(土)公開の『日本で一番悪い奴ら』を観たら、お二人が話してくれた内容がもっとクリアに感じられますよ!

ぜひ映画を観た後に、またこのインタビューを読んでみてください!

『日本で一番悪い奴ら』は6月25日(土)T・ジョイ博多 ほかにて全国ロードショー

 

 

 

取材・文:筒井あや
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