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新春1月10日(土)より、いよいよ福岡でも公開!映画『0.5ミリ』の安藤桃子監督が来福しました

2015年01月07日 08:00 by JUN

『0.5ミリ』—主人公は、安藤サクラさんが演じるヘルパーのサワちゃん。彼女は行く先々で出会ったおじいちゃん達を上手に掌の上で転がしながら、時には振り回しながら、完璧にお世話をする。その圧倒的なエネルギーから、ヒロインと言うよりは“スーパーヒーロー”と呼んだ方がしっくりくる存在だ。

196分—長い上映時間に思わず構えてしまいがちだが、一度映画の世界に入り込んでしまえば、“スーパーヒーロー”サワちゃんの動向が気になって気になって、気付けばあっという間!『0.5ミリ』は、何とも不思議なハードボイルド人情ドラマなのである。

福岡・中洲大洋で2015年1月10日から公開されるのに先がけて、主演・安藤サクラさんの姉でもある、安藤桃子監督が来福した。

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 介護がテーマだと思われがちですが、全然暗い話でも、ある意味介護の話でもないんです。とにかくサワちゃんというニューヒーローを現代社会に生みだしたかった。サワちゃんがおじいちゃん達をブンブン振り回しながらも、彼女がおじいちゃん達の世界に現れると、モノクロがカラーにパッと変わるような、そういうおとぎ話のような作品を作りたかった。

 家族と一緒に祖母の介護を経験し、看取ったことで、人は“生まれたら死ぬ”という矛盾を改めて考えさせられました。そして介護とは決して一括りに出来ないものだと感じました。介護という一つの単語で括っても、実際にはそれぞれの家族にドラマがある。映画監督である限り、そのドラマ一つ一つとちゃんと向き合って、丁寧に描かなければいけないと思いました。今回、妹が主演で、家族もスタッフとして映画に関わっているんですが、それはやはり祖母の存在があったから、この作品で“家族で映画を作る”ということに挑戦したいと思ったんです。家族で映画を作る事は、正直しんどかったけれど、姉妹で一緒に仕事をすることは素晴らしい以外の何物でもなかった。この時代に新しい…ヒロインだけれども“ニューヒーロー”を生み出したかったという想いを叶えてくれるのは、安藤サクラという女優しかいないと思っていましたし、それが叶って、何より嬉しいですね。

 映画の舞台、高知県に出会ったキッカケは、父(奥田瑛二)なんです。小説を書いたことで全部想いを吐き出してしまい、映画化へのモチベーションがゼロになってしまって苦しんでいた時、父が丁度高知の仕事から帰ってきて、「お前が描いている町は高知だ!すぐ見て来た方が良い」と。これが大当たり。映画的に一番大切な光と影が、高知にあったんです。高知空港に降り立って最初に感じたのは、その絵的なことで言う、光と影が物凄くはっきりしている町だということ。冬なのに真夏のような痛い位の日差しがあるから、影もくっきり出るんですね。そして、山も川も海もある中で、トタンでできた建物や小さな路地があって、昭和っぽい原風景がたくさんあって、映画的にとても良い町だなと思いました。主人公のサワはすぐ人に話しかけるし、コミュニケーションの取り方が巧みで、あまり日本人的では無いキャラクターです。それゆえ映画の舞台をどこにしようか悩んでいたんですが、これもまた高知がドンピシャでした。高知についた初日に飲みに行ったら、次々に知らない人から話しかけられたんです。高知県人、皆サワちゃんだった!という衝撃(笑)。この土地なら映画が成立すると思って、一気に色んなことが解消されました。

 タイトルの『0.5ミリ』に関しては、「私はこういう意味だと思った」と答えを出してきてくださる方が多くて、その一つ一つが全部大正解すぎて、私自身が感動しました。色んな解釈のしかたができる、なかなか良いタイトルかも知れないと思いました(笑)。
 ちなみに私の答えは、“心の尺度”。心の尺度ってなんだろうと考えた時“0.5ミリ”という単位が浮かんだんです。1ミリの半分の0.5ミリは、産毛が触れる程度で体温を感じ、静電気は起きるけれど、触れ過ぎて痛いことはない距離。大人になるつけ世界は広がっていくけれども、逆に人との距離の取り方が分からなくなることってありますよね。それは心の尺度の測りが曖昧だからかなと。そういう意味も込められています。

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【あらすじ】
ヘルパーのサワは、派遣先の家族から「おじいちゃんと添い寝して欲しい」という依頼を受ける。しかもその当日、彼女は予期せぬ大事件に巻き込まれ、いきなり“家ナシ・金ナシ・仕事ナシ”の崖っぷちに立たされてしまった。それでも生きていくために、サワは“押しかけヘルパー”をすることに…駐輪場の自転車をパンクさせまくる茂ジイさんや、女子高生の写真集を万引きする義男など、ワケありクセありのおじいちゃん達を見つけては、サワは軽やかに家事や介護をこなし、彼らの生活に入り込んでいく。初めは戸惑いながらも、不器用さゆえに社会や家族の中で居場所をなくしていた彼らは、全身全霊でぶつかってくるサワの存在に突き動かされ、徐々に心を開き始める…。

【公開】2015年1月10日(土)より、中洲大洋にて公開

【オフィシャルサイト】http://www.05mm.ayapro.ne.jp/




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取材・文:JUN
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